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二本 龍天に登れば残る糞の山 |
センスなし(Nosence@all) 駐在の蛇行している晩夏かな |
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めうが野 塩ふりてきゆうり一本食ひにけり |
まる 骨よ響け萌えるオーボエ燃えるオーボエ |
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さとうさん 風花や猫は欄干歩みたる |
春来る いろいろなものに抜かれて春来る |
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よこたはる 破水かも知れぬひとりの夏の月 |
ネパール行 北野勇作 屋根の上猫の道あり雨期に入る マンゴ売り眠たい犬の多い街 迷彩の模様の椅子のバスで行く 七人の侍で見たような田植え ヤクに似た形の雲や赤い花 蝋燭の灯りに浮かぶ雨後の街 完全なる形の虹やポカラ夏 ダムサイド沈没したる日本人 水浴の順番待ちや水牛群 水牛は首だけ出して昼寝かな 去年の夏アメリカ人の落ちた場所 段々の田に映る青空の青 夏山や驢馬の通過を待つ二人 魚の尾の形の夏や驢馬の鈴 山下りてヤク印のゴム草履買う 夕立や尖った山の上は晴れ 停電の起こらぬ夜や黄金虫 紫の岩塩を買う夏である 夏の朝二頭の象について行く お土産は小さき喇叭カトマンドウ |
| ベトナムコーヒ 東直子 夏山に石の神様ありにけり 虫よけの薬のにほひ父母眠る 夕焼や裏がへされし肉の面 朱に触れてきし指先や水澄める 浅草といふ終点や秋麗 発熱や梨が芯から透けてくる 靴下のゆるくたたまれ良夜かな 着ぐるみの瞳や花野迷ふ日の 逆縁や柿は剥かれて卓にあり 布裁てば空にあふるる紅葉かな 秋晴の神様の土踏まずかな 初霜や光の産毛地に充ちる オムレツやみなつつましく目を閉ぢぬ 冬真昼ベトナムコーヒ甘かりき さへづりや色えんぴつの削りかす 紅梅や嬰児は昼の湯に入りぬ 亀鳴くやがらんと頭痛する昼に 顔を洗ふ命得るとき終るとき 草若葉先をそろへて靴を脱ぐ 春光をあつめて馬の耳立てり |
ほろほろ 宿帳に偽名を記す栗の花 |
| 青こだま 佐怒賀正美 かるがると軍鶏を越えたる蛙かな ひきがへる銀河の渦を吐き出せり 夜向きの中年の胃かひきがへる 新年の真ん中に笑むかたつむり 石原八束一周忌 仮幻忌や蓮あらしの青こだま 蓮池わたる天道虫や八束の忌 涼しさや吊り天井に恐竜鳴く 噴水はくすぐられゐる父のやう ブルドッグ佃祭りに連れまはす 向日葵や知恵洪水をなして過ぐ 佐渡六句 晩夏なる空木返しや流人墓地 (注)空木返し・・山で倒木音がする怪異現象 入道雲さへぎる木々や無宿墓 虫の闇に柱時計の顕(た)ちて透く 海鳴りの降りくる磨崖や灼けぼとけ 涼しさや朱鷺の子すでに影つくる 夏ゆくや佐渡の底から聳(た)つ大樹 中年は余白もけむりのうぜん花 奈落より水虫しのび来たりけり 脳撮られゐて空腹の晩夏なり 秋立つや血を絞り出すひと握り |
マドヌグフ 亀山鯖男 雨の日のいちまん歩くあめんぼう あらはなるからだのしくみいととんぼ 鰯雲ガーゼでくるむ下半身 海の日や五枚の布で窓ぬぐふ 鬼ごつこ首のかたちは推して知る 核家族かどはかされぬひつじぐさ 軽業をして薄野を頂きぬ 劇場のやうに生えたる荻の原 恋や手のひらはそよ風避くる為 更衣異性同食不眠症 細胞にまぶしてありぬ氷水 さくらんぼ道が動きませんように 石鹸の片面襲ふ秋の風 尖りたる影見てゐたり秋の暮 撫で牛や抽象的な絵日記に ひまはりを大きな顔とおもひけり 枇杷の花ねぢを巻きます遅れます 分類や突起に満たさるる炎天 みなみかぜ甘いお菓子をたひらげる 夕焼けのドイツの人はやさしさう |
| 万事快調 村井康司 ひるがほや死者に恋文届きをり 風つよき夏来て父の喉に孔 口といふ裂け目のかたち夜の秋 うづくまる旅客機の群れ初嵐 云ひつのるひとと歩きし良夜かな 道行のごとく虫棲むくらがりへ 鼻先の切なくなりて秋の暮 惜敗の校庭広き野分かな 秋風や大瓶の底濡れてをり 長き夜をパン種白く輝けり はらゝごの赤や逆縁あひつぎて 万事快調うすらわらひも万事快調 指に唾つけて指のみ変身す 跛行してなゝめに背負ふ床柱 上がり来て取りいだしたる朴落葉 寒月や岩の中には岩の音 こがらしに詫びる男はずぼんむらさき 渋谷駅頭茂吉徘徊初時雨 おほぶりの超人論と鮃かな やに臭き御者の帽子やクリスマス |
Sugar Room Babies 優璃 双子なりここに世界は始まれり しゃぼん玉どこへも行けぬ胎児かな 生まれないことを選びて薄暑かな 胎児よりモールス信号さみだるる 胎児らの名乗りをあげる皐月闇 雨男じぶんの雨に溺れけり 空見れば空の形の胎児かな 生まれぬ児のまぼろし見ゆるいなびかり 水澄みて胎内汚染進みけり 空深し呼吸のできぬ児らなれど 妻と児にセントエルモの火は降りぬ 胎児さへ息を呑みたる初日かな 生霊の還りてこの世の果を言ふ 引きこもる児らまぼろしをよく観けり まっすぐに祈りを浴びて身じろがず 子宮にて睦み合ふ児ら世紀末 妻の胎に Sugar Roomと描きにけり 断層でのみ知る貌や底冷える 胎児からメール届く日春ともし みどり児はみどりの星へ旅立ちぬ |
| 秋の虹 一鮪 ほほづきや海図の四隅失ひぬ 年下の優しきひとよ蟹星雲 紫陽花のかたちの母の疲れかな 秋の虹ぬいぐるみの名加筆せり 狐火や牛若丸の瓜実や オーロラや鬼は手の鳴る方へゆく |
夏秋冬 鉄村明美 心臓に太陽描く冷瓜 カレンダー傾いてゐて茄子の花 いにしへの炎天にゐる爬虫類 横浜の気球に吸ひ込まれて夏 ひまはりや旗泥棒の去りし後 七匹の大きな蛇の名を呼べり はすかひの皿に酢を入れ九月尽 舶来の菜種油や秋日和 冬めくや鱗ふたつの落ちる部屋 ぬひぐるみごとつかまへる寒さかな |
| 三鬼立ち 寺澤一雄 短夜の三鬼立ちして良き姿 樟若葉葬のための場所空けよ 鉢巻きの田中右翼や子供の日 水槽で旅する魚卯月野に 理科の絵に糸瓜の水の取り方も 名月や粗煮の魚に素性あり 爽かや遅速を競ひ石崩る 学校で食ひし鯨肉皆思ふ 冬の海島を浮かせて船沈め 屋根裏を天井裏と言ひて秋 かたまりとしてのおばさん朴散華 朝曇パンに挟まれハム喰はれ 髭伸びし顔を惜しむや麦の秋 根の方で曲がる五月の始めかな 黒南風や同じ幟にそばうどん 夕桜妻の実家に住まひをり 靴底で運ばれし土渇く春 桃の日やモデルハウスに表札も 満開の枝垂桜や家荒れし 葱坊主あたりに海のにおひかな |